あの日ふたりは夢を描いた
少し気持ちが高ぶったままアルバイトを終えて家に帰ると、玄関にお兄ちゃんの靴があった。

今日は帰るの早いじゃん。

そんなことを思いながら洗面所に続く廊下を歩いていると、リビングからお母さんとお兄ちゃんの話し声が聞こえてきた。

「真白は進学するの?」

お兄ちゃんの声だ。

私の話題……

思わずリビングの扉の前で立ち止まる。

シンクで食器を洗っているような音とともにお母さんの声が聞こえる。

「難しいと思うわ。学校でも一人みたいだし。仮に進学できたとしても周りに馴染めないで辞めちゃうんじゃないかしら」

「ふぅん。でもバイトには頑張って行ってるじゃん」

「バイトっていったって身内しかいないわけだし、大したことしてないわよ。社会勉強にもならないわ」

言いたい放題の状況だけど、私からはなにも言えない。
実際に当たっている部分も多いから。
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