あの日ふたりは夢を描いた
『今は一人じゃないんだ。クラスで話せる人もできたよ』と、『最近、表情が明るくなったと言われたんだ』と、そんな話を聞いてほしかった。

昔の話ばかりしないで……

涙で濡れた布団に突っ伏していたらそのまま眠ってしまったようで、気づくと明け方になっていた。

シャワーを浴びて髪を乾かす。少し早めに下に降りたが、すでにリビングにはお母さんがいた。

「朝ごはんできてるわよ」

「……うん」

椅子に座り食パンをかじると、バターの香りが口に広がる。昨日夕食を食べていないせいか、いつもより美味しく感じた。

お母さんも少し遅れて前の椅子に座り食事を始めた。
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