あの日ふたりは夢を描いた
「……なんであなたが楽しそうなの?」

「きみが楽しいなら僕も楽しいさ」

私は時間も忘れて本を読んでいたので、ちらっと左腕の時計を確認する。

「まだここにいて大丈夫なの?」

「今日は時間に余裕があるって言っただろ」

「そう」

なんでそんなにゆっくりしていて大丈夫なんだろう、と疑問に思いながらも彼の言葉を受け入れる。


「……ところでさ、きみはまだ書いてるの?」

その言葉を聞いた瞬間、ページをめくる手がぴたっと止まった。

胸のあたりがザワザワしてきて、追っていた文字から目を離しゆっくりと彼を見た。
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