闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 蘭子は利用価値なんかないとあっさり言い放ち、亜流の桜庭家への資金援助を打ち切った。
 けれど亜桜の両親は小手毬に苦労をかけないよう、自分たちのお金で小手毬を生かそうと、生かしつづけようとしている。
 その、理由を小手毬は知っているから、自由に真実を告げられない。
 
 
 ――ジュウおにいちゃんがいくらがんばっても、あたしは彼と結婚できない、んだよ。
 
 
 記憶のなかの自由は、縁戚関係にあたる、幼馴染のお兄ちゃん。
 けれど彼が小手毬の傍にいられたのは、雪之丞が血のつながりを知らない小手毬のために配慮してくれたから。
 諸見里家は金に目が眩んだ裏切り者。
 彼だけが知らされていない、自由のほんとうの母親のこと。
 
 
 ――間違っているんだって。異母兄妹だから。許されないんだって。
 
 
 思い出した小手毬は悲嘆にくれる。
 どんな顔して彼に逢えばいいのか、わからなくなってしまった。
 だって自由は小手毬がはんぶん自分の血のつながった妹だって、知らないんだもの。
 陸奥には「やっぱり会うのこわい」と、伝えたけれど。不思議そうな顔をされてしまった。
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