闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
呆れた顔で言い返せば、加藤木は陸奥の耳元へふっと息を吹き付ける。
うわっ、とたじろぐ陸奥を見て、彼女は小声で囁く。
「桜庭雪之丞が亡くなったことで諸見里の本家が動くんじゃないかな、と思ってカマをかけてみたんですけど、彼は“シロ”でした。あーつまんない」
「……意味がよくわからないのだが」
「まぁ、もともと分家の人間だっていうし、これ以上探るのも可哀そうかな」
くすくす笑う加藤木を不気味そうに見つめながら、陸奥は呟く。
「……守秘義務」
「露見なきゃいいのです」
「いやダメだろそれ」
「えー。だけど陸奥先生こそ気にならないんですか? 亜桜家の裏稼業」
「早咲が言ってたな……雪之丞の娘は“担保”だっていうあれか?」
「ひどいですねぇ、担保だなんて。だけど桜庭家が彼女を見捨てる決断をしたというなら、彼女の身柄も当然亜桜家のものになりますからねぇ。雪之丞は彼女を生かして利用したかったみたいだけど……」
生かして、という言葉の重さに陸奥は言葉を詰まらせる。
亜桜小手毬の両親に何度も懇願された「お金ならいくらでも出す」の滑稽さ。
うわっ、とたじろぐ陸奥を見て、彼女は小声で囁く。
「桜庭雪之丞が亡くなったことで諸見里の本家が動くんじゃないかな、と思ってカマをかけてみたんですけど、彼は“シロ”でした。あーつまんない」
「……意味がよくわからないのだが」
「まぁ、もともと分家の人間だっていうし、これ以上探るのも可哀そうかな」
くすくす笑う加藤木を不気味そうに見つめながら、陸奥は呟く。
「……守秘義務」
「露見なきゃいいのです」
「いやダメだろそれ」
「えー。だけど陸奥先生こそ気にならないんですか? 亜桜家の裏稼業」
「早咲が言ってたな……雪之丞の娘は“担保”だっていうあれか?」
「ひどいですねぇ、担保だなんて。だけど桜庭家が彼女を見捨てる決断をしたというなら、彼女の身柄も当然亜桜家のものになりますからねぇ。雪之丞は彼女を生かして利用したかったみたいだけど……」
生かして、という言葉の重さに陸奥は言葉を詰まらせる。
亜桜小手毬の両親に何度も懇願された「お金ならいくらでも出す」の滑稽さ。