闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
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諸見里自由が姿を消したことは、茜里病院に滞在している陸奥と加藤木のもとにも伝えられていた。
だが、彼がその後どうしているかは赤根一族のネットワークを駆使しても把握できずにいるのだという。
辞表を提出し、周囲に引き留められながらも彼は潔く職場を去ったと早咲は言っていたが、実際のところはどうだったのだろう。加藤木はうーんと考えながら小声で囁く。
「楢篠先生は素知らぬ顔してましたけど、彼女くらいしか彼を焚きつけるひといませんからねえ」
「……そうだな」
自由の失踪は小手毬のもとにも知らされた。心配するかと思いきや、彼女は「これで安心して“器”になれる」と言い出す始末。
そんな彼女は病室で瀬尾の医療行為を受けているところだ。彼は包帯や道具を使って小手毬の身体を開発するのだという。想像するだけでもおぞましい話だが、彼女は無邪気に報告してくるのだから質が悪い。
「変態的な瀬尾先生と、薬で簡単に済ませる無機質な赤根先生と、コデマリがジユウくんの代わりにしている陸奥センセ……ほんと不憫だわ」