闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う

   * * *


 眠りつづける少女のもとに、今日も花束が届く。
 デルフィニウムの濃い青紫の花と、ニゲラの淡い桃色と水色の花が競演している。一年半も続く花の贈りものは、担当医の早咲の心も和ませる。眠りつづける少女が淋しくないよう、優璃はオソザキの花になって、病室に彩りを与えつづける。


「しぶといと、お思いですか?」
「いえ」

 優璃は花を贈りつづけることも贖罪のひとつだと考えていた。だが、目覚める気配のない少女に一方的に贈りつける行為は、はたから見ればおかしいと思われても仕方がない。一週間に一度、真新しい花を贈るオソザキと名乗る優璃は、一歩間違えれば執念深いだけの人間に見える。目覚めない少女に花を贈りつづけることが償いになると思い込んで、少女の周囲の人間に煙たがられていることすら気にせず、機械のように見舞いを繰り返す。まるで義務にしてしまったかのように。
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