闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
風変わりな患者と癖のある医師のもとにつくことになった自分が見た、ちょっとした諍いは。
苦笑いを浮かべた夫から視線を逸らして、天は呟く。
「それにしても。珍しいね、陸奥先生が主治医って」
健太郎はそう言われてみると、そうかもしれないなと頷く。
「当初は早咲先生が担当だったんだけど、専門領域が異なるとかなんとかで変わったんだよ」
「確かに、脳神経外科の出る幕はこの先なさそうだね」
そこで天は考える。陸奥が患者を受け持ったのはいつ以来だろう。自分が医局に入った頃から、彼は表舞台を避けるように勤務している。かなりの腕を持つ麻酔専門医としてあの早咲からも一目置かれている三十二歳の若手医師は、極力他人との接触を避けているように見えた。
「その、陸奥先生が患者と衝突したんだっけ」
健太郎の話を咀嚼して、天は確認をとるように彼の表情をうかがう。
「まぁ、そういうことかな」
果たしてあれが衝突と呼べるものかは定かではない。健太郎が間近で見たふたりの言い合いは、とても医師と患者が起こすようなことではなかった、それだけは事実だ。
苦笑いを浮かべた夫から視線を逸らして、天は呟く。
「それにしても。珍しいね、陸奥先生が主治医って」
健太郎はそう言われてみると、そうかもしれないなと頷く。
「当初は早咲先生が担当だったんだけど、専門領域が異なるとかなんとかで変わったんだよ」
「確かに、脳神経外科の出る幕はこの先なさそうだね」
そこで天は考える。陸奥が患者を受け持ったのはいつ以来だろう。自分が医局に入った頃から、彼は表舞台を避けるように勤務している。かなりの腕を持つ麻酔専門医としてあの早咲からも一目置かれている三十二歳の若手医師は、極力他人との接触を避けているように見えた。
「その、陸奥先生が患者と衝突したんだっけ」
健太郎の話を咀嚼して、天は確認をとるように彼の表情をうかがう。
「まぁ、そういうことかな」
果たしてあれが衝突と呼べるものかは定かではない。健太郎が間近で見たふたりの言い合いは、とても医師と患者が起こすようなことではなかった、それだけは事実だ。