人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています

 落ち着かない様子で何度か部屋をうろうろして、それからベッドに腰を下ろした。
 ふわっとして軽くて、腰がゆっくり沈む。

「わっ、すごい。なんて座り心地のいいお布団なの!」

 イレーナはシーツを触ってみた。 
 サラサラして気持ちいい。

「こんな贅沢な寝具で眠れるなんて最高じゃない」

 イレーナは感動のあまり、ベッドにうつ伏せにダイブしてみた。
 すると、ふわっと身体が包み込まれる感覚がして、まるで身体が浮かんでいるような気分になった。

「すごいわ。こんなに寝心地のいいお布団は初めて!」

 さわさわと手でシーツを撫でていたら、背後から急に声がした。

「気に入ったならよかった」

 聞き覚えのある低い声に、イレーナは飛び起きた。
 振り返るとそこには皇帝ヴァルクが立っていたのである。
 イレーナはベッドに夢中になるあまり、扉を開ける音にも気づかなかったらしい。
 慌てて身体を起こし、深く頭を下げた。

 狼狽えてはいけない。
 だが、心臓はバクバクと壊れそうなほど音を立てている。



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