人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています

 イレーナが考えをめぐらせていると、突然子どもたちがバタバタと部屋に入ってきた。
 驚いた司祭は慌てて止めようとする。

「お前たち、大人の話に入ってくるでない」

 しかし、彼らは司祭に訴え出た。

「先生! 村が豊かになったらご飯いっぱい食べれる?」
「あたし、パン屋さんになりたい」
「僕はおうち建てる人になりたい」

 司祭は驚き、ぽかんと口を開けたまま絶句する。
 女の子がイレーナに近づいてきて、無邪気な表情で話す。

「あたし、毎日神さまにお祈りしているの。いつか綺麗なドレスを着てお嫁さんになれますようにって」

 すると女の子の背後で男の子が笑った。

「バカだなあ。そういうのは貴族とか金持ちしかできないんだよ」
「そうそう。もっと現実的な夢を見ろよ」

 みんなに笑われた女の子は泣きそうになっている。
 イレーナはソファから立ち上がり、女の子の前で屈んで目線を合わせた。

「素敵な夢ね。きっと叶うわ」
「ほんと?」
「ええ。そのためにはいろいろと学ぶことも多いけれどね」
「あのね。あたし、綺麗なドレスを着てこの教会で結婚式をするの。司祭さまの前で神さまに誓うの。幸せになりますって」

 それを聞いた司祭は呆然としていた。


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