浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
乗っていた車も、ごく普通の乗用車だったし。
緊張なんてすることなかったし、逆にそれがよかったのかもしれないなぁ……なんて。

運転席側に桜川先生が乗り込むと、ゆっくりと車を発進させる。
途中、何気なく桜川先生の方へ目を向けてみると、いつもとは違った雰囲気に感じた。

仕事中は白衣を着ていて、まさに〝お医者様〟って感じなんだけれど……今は違う。

黒のスーツに、鮮やかなブルーのネクタイ。
普段見ている桜川先生とは違って、いつも以上にかっこよく見えた。


「どうしたの水姫、見惚れてる?」

「えっ!? いや……ち、違います」

「いいよ、水姫に惚れられるなら全然ウエルカムだけど」

「いや……! だから違いますって!」


「あはは!」と大声を上げて笑う桜川先生。
慌てて否定するも桜川先生にはバレていたようで、恥ずかしくなる。

それと同時に少しだけ緊張がほぐれた気がして、そこも見透かされていたのだろうと思うと桜川先生の優しさが伝わった。


でも……こんなにかっこいいのに、桜川先生自身は自覚がないのかな?
普段、桜川先生をの彼女枠を狙っている看護師さんもたくさんいるって、知らないのかな。


考えているうちにお店に到着したようで、桜川先生はパーキングに車を駐車させた。

運転席を降りて助手席側に回り込むと、さっきと同じようにドアを開け、桜川先生がエスコートしてくださる。
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