浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
車から降りると、当然のように私の右手に自分の左手を絡める桜川先生。


こんなのまるで、本当の恋人同士みたい……。


ドキドキしながら入り口に向かって歩いて行くと、到着したのは高級感漂う高層ホテルだった。
天井には、見たこともない煌びやかなシャンデリアが、私たちを出迎えてくれている。


い……息が詰まってしまいそう。

さっき、桜川先生に緊張をほぐしてもらったばかりなのに。


「ここのホテルのレストラン、父のお気に入りなんだ」

「このホテル……とっても有名ですよね」


凡人である私でさえ、名の知れたこの高級ホテル。
雑誌や旅行ガイドブックでよく特集されているこのホテルのレストランには、有名シェフがフランス料理を振舞っているらしい。

……私が知っている情報はせいぜいそのくらい。

料理の味もレストランの雰囲気も、まったく未知の世界。

きっと桜川先生は、こういう場所へ訪れるのは日常的なことなんだろうな。
4月末に私が予約したホテルも、どうやら高級っぽかったし。


「水姫、行こうか。 もう、父が中で待っているみたいだ」


手を繋いだままエレベーターに乗り込むと、向かった先はホテル最上階。

エレベーターを降りて、目の前の大きな窓から見える夜景は、息をのむほど綺麗だった。
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