浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
もしかして……と思って、薬局で妊娠検査薬を購入し試してみたところ、見事に2本の赤い線がくっきりと表示されていた。

私……妊娠してる。
でも、桜川先生との間にできた子じゃない。 淳史との子だ。

修羅場になって別れる前に、淳史と愛し合ったのは覚えている。
そのとき、ちゃんと避妊ができていなかったのかもしれない……。

どうしたらいいかわからなくなった私は急いで麗華に相談した。
元カレとの間にできた子だとはいえ、この小さな命をなかったことにはしたくない。


「水姫が産みたいなら、私は応援するよ」


優しくそう言ってくれた麗華に、涙が溢れた。
でも、子どもが産まれてからも麗華にお世話になるわけにはいかない。


桜川先生との結婚も決まりつつあった今、私は桜川病院を辞め、実家に戻ることを決意した。


そう決めた翌日、私は桜川医院長に辞表を提出。

医院長や麗華には本当のことは伝えてある。
でも、桜川先生に妊娠のことは言いたくなくて〝女性特有の病気で退職〟ということを伝えてもらうことにした。

あんなに誠実に私への思いを伝えてくれていた桜川先生……。
こんなことで、彼の人生を台無しにしたくない。

私のことは愛せても、元カレとの間にできた子を愛することは難しいと思うから……。
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