再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 ……ひょっとして、ずっと迷っていたことをセレストさんには見抜かれていたのだろうか。

「い、いえ、でもほんと全然自信はないので、これからもご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いします」

 何かのスピーチで聞いたような言葉をそのまま使って深く頭を下げると、ふっとセレストさんが吹いた気がした。

(セレストさんが、笑った……?)

 すると彼はそれを誤魔化すように咳払いをしながら顔を上げた。

「失礼いたしました。こちらの方こそよろしくお願いします、コハル様。これから共に、陛下を支えてまいりましょう」
「はい!」 

 ――こうして、セレストさんの第一回目の授業は終了したのだった。



「ふぅ」

 自室に戻って一息つく。
 メリーが花瓶に生けられた花の方へとふわふわ飛んで行くのを見送りながら独り言ちる。

(争いか……)

 てっきり、魔王を封印してこの世界は平和になったのだと思い込んでいたからショックが大きかった。
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