再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 彼にこのことを伝えるべきか、否か。

(やっぱり何かあったら大変だし、きっと伝えた方がいいよね)

「内容は、やっぱりもう少し文字の勉強しないと読めなさそうです」

 苦笑しながら、思っている事と全く違うことを口にしていて、そんな自分に驚く。

「そうか。早く読めるようになるといいな。わからないところがあったらいつでも訊くといい」
「はい。ありがとうございます」

 お礼を言いながら、罪悪感でチクチクと胸が痛んだ。



「はぁ……」

 色とりどりの花びらの浮いたお風呂に浸かって溜息を吐く。

 向こうの世界に未練なんて何もなかったはずなのに。
 帰れなくなったと知って、こんなにも心が不安定になるなんて思わなかった。

(結局、この世界で生きる覚悟なんて全然出来ていなかったんだ……)

 自分が嫌になる。
 ――それに。

(なんでリューに言えなかったんだろう)
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