再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 もしかして私はリューを疑っているのだろうか。
 リューなわけがないのに。
 だってあの夜、一緒にいたのに。

(でも、私が寝た隙にこっそり抜け出して花の国まで飛んでいけば……)

 そこまで考えてぶんぶんと首を振る。
 彼はそんな酷いことが出来るような人じゃない。

(じゃあ、一体誰がそんなことを……?)

 私を向こうの世界に帰したくない人。
 この世界に留まらせたい人。

 そのとき、ふいにセレストさんの声が蘇った。

『聖女であるコハル様を竜帝妃としてお迎えすることは我が国にとって、とても大きな力となりえます。今頃はどの国でも大変な騒ぎになっているでしょう』

(私の……ううん。聖女の力が欲しい、他の国の誰か?)

 この世界で出会った人たちの顔が次々と浮かんで、パンっと自分の両頬を叩いた。

(知っている人たちを疑うなんて、したくないのに……)

 自己嫌悪で涙が出そうだった。

 ……ティーアは何かわかったらまた手紙をくれると言っていた。
 今はそれを待つしかない。私に出来ることは何もないのだから。

(リューには、それからちゃんと伝えよう)

 ――そう思った。

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