再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 会議の内容はこの国の復興事業についてや、昨日聞いた世界各地で起き始めている小規模な争いの件も上がり皆真剣に話し合っていた。

「我が国としましても砂漠の国への援助はしたほうが良いと考えますが」
「しかし下手に介入してはこちらにも火の粉がかかるやもしれん。やはりここは慎重に……」

(今一番争いが起きているのは砂漠の国なんだ)

 話の内容に精一杯耳を傾けながら7年前に訪れた砂漠の国を思い出していると。

「コハル?」
「え?」

 急に名を呼ばれてそちらを見ると、リューが私を見て怪訝な顔をしていた。

「なんでしょうか?」

 大臣たちも一旦話を止めこちらに視線を向けた。
 リューはがたりと椅子から立ち上がるとこちらへとやって来てその大きな手で私の頬に触れた。

(んなっ!?)

 皆のいる前でいきなり何をと思った次の瞬間、リューはそのまま私をひょいと抱き上げた。

「――りゅ、陛下!?」

 思わず出た声がひっくり返ってしまった。
 案の定大臣たちは皆揃って唖然とした顔をしていて、元々火照っていた顔が更に熱くなった。

「おおお下ろしてください!」
「大人しくしていろ」
「……っ!」

 有無を言わせぬ低い声音に私はバタつかせていた足をぴたりと止めた。

「すまない。コハルは体調がすぐれないようだ。少し席を外す」

 そうして皆がポカンと見守る中、リューは会議室を出たのだった。

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