再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
リューがぎょっとした顔で椅子から立ち上がる。
「ど、どうした。どこか痛むのか? それともまた俺が何か気に障ることを言ってしまったか?」
酷く慌てた様子のリューに私はぶんぶんと首を振る。
「違うんです。……ごめんなさい。私、リューに隠していたことがあります」
「隠していたこと?」
(隠していたこと、少しでも疑ってしまったこと、ちゃんと謝らないと……)
リューではなかったという確信が持てた今、安堵と共に残ったのは酷い罪悪感だ。
涙を拭って、私は続ける。
「私、向こうの世界に帰れなくなってしまったんです」
するとリューは瞬間呆けた顔をしてから眉を寄せた。
「どういうことだ?」
「実は、この間届いたティーアからの手紙に、何者かに聖殿が破壊されて私を向こうの世界に帰せなくなってしまったと書いてあって」
「聖殿が……? いや、しかし、手紙は読めなかったのでは」
「実はあの手紙、魔法の手紙で……内容がティーアの声で聞こえてきたんです。嘘をついてすみません」
頭を下げて謝罪する。