再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
(ここに、リューと魔王が……ってことは、やっぱり――)
「ごめんね、コハル。僕もここが限界だ」
「え?」
見るとエルが困ったように笑っていた。
そして、どんなに暑くても涼しい顔をしていた彼の額に玉のような汗が浮いていることに気付く。
そうだ、妖精にとって魔物の存在は毒のようなものだという。なんでも出来そうなエルだってメリーと同じ妖精のひとりなのだ。
「でも、まだ7年前ほどの力は感じられない。今ならまだ間に合うかもしれない。……これを」
差し出されたのはあの翡翠のブローチだ。いや、それよりも少し大きく更に美しく輝いて見える。
「これは今メリーが持っているものより僕に近い石。これを身につけていれば僕にも見えるし、これを通して癒しの魔法も使えると思う」
「ありがとうエル。すごく心強い」
私はメリーをエルに預けて、新たな『妖精の瞳』をしっかりと胸元に取り付けた。
「となると、俺と聖女サマで行くしかないってことか」
カネラ王子がそう言って私の前に降り立って、ぎくりとする。