再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
でも彼は首を横に振り、再び顔を伏せてしまった。
「……帰れない」
「なぜ?」
「俺ではダメなんだ」
「ダメ?」
「俺は、父上みたいな立派な竜帝にはなれない」
それは、初めて聞く彼の本音だった。
「母上も、父上もいなくなってしまった。竜人族は、俺ひとりになってしまった」
ぽつりぽつりと零れていく、彼の本当の心。
「なのに俺は、こんなにも弱い。こんな俺は、やはり竜帝にも、コハルにも、相応しくない」
――ああ、そうか。
リューはずっと不安だったんだ。
お父さんを亡くしてから、きっとずっと不安でいっぱいだったんだ。
いつもの態度を見ていると忘れそうになるけれど、彼は私よりもずっと年下で。
その若さで一国の王となったのだ。不安がなかったはずがない。
「リューは弱くなんてないです」
「……」
「リュー、私と一緒に戦ってくれたじゃないですか。私、あのときすっごく心強かったです」
「あれは……あのときは、コハルがいたから」
「はい。私がいます」
「え……?」
リューが再び私の方を見てくれた。
彼の前に膝を着いて、潤んだ綺麗な金の瞳をまっすぐに見返す。