偽る恋のはじめかた





「桐生課長はバカですね」


椎名さんは、ズバッと吐き捨てて呆れた顔で笑うんだ。

椎名さんが言い放つ言葉は、なぜか棘を感じない。客観的に見たらキツイ言葉を吐くこともあるけど、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。



月曜日と金曜日の週2回、作戦会議という名の椎名さんと行くランチが、いつのまにか楽しみにしている自分に気付いた。


女性と話すのは苦手なのに、椎名さんと話すことを楽しみにしている自分は矛盾していると思った。



だけど、その理由を考えないようにした。

答えを出さない方がいいような気がしたんだ。
なぜだかは、わからない。


間違いだらけの自己防衛だったのかもしれない。


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