偽る恋のはじめかた





遠くなる背中をただ見つめていた。


椎名さんが振り返ったら、
大声で叫んで引き止めよう。


椎名さんが振り返ったら、
関係を終わらせたくないと不器用ながらに伝えよう。



椎名さんが振り返ったら・・・・・——。



振り返って欲しいと心でいくら願っても、彼女の背中は遠くなるばかりで振り返る気配は全く感じられなかった。


このまま、終わってしまう。
今まで見てきた彼女の笑顔や笑い声を
もう見ることができないなんて・・・・・


いいのか?
いや、嫌なんだよ。


まだ、この感情の正体を理解できてない。
なんでかわからないけど、すごく嫌なんだ。




待って、行くな、そばにいて欲しい・・・・・




「———椎名さん!待ってくれ!!」



先の方まで歩いていた彼女に向かって
街ゆく人たちが全員振り返るくらいの大声で叫んだ。








Kiryu side end-----------------
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