偽る恋のはじめかた






必死に走ってきてくれたのだろう。荒い息遣いでまだ少し苦しそうにみえる。


わざわざ追いかけてきて、
・・・・・・なんだろう?


さっきの話のあとに、わざわざ全速力で走ってくるなんて、



・・・こんなのどうしたって、期待をしてしまう。




「・・・・・・呼び止めて、ごっ、ごめん」


「・・・・・・い、いえ。どうしたんですか?」


「椎名さんに伝えたいことがあって、」





真っ直ぐな瞳は真剣で、期待してしまう気持ちを消すことができなかった。彼の口から続く言葉を待ち望んで、心拍数が跳ね上がる。次の言葉を待つ緊張感が全身を駆け巡った。


瞳に期待を潤ませて、桐生課長の真剣な眼差しに応えるように見つめ返した。




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