偽る恋のはじめかた


俺はけっこう人に好かれる。ただそれは人工的に作られた人格だ。

人が喜ぶことを狙って発言するし、こうすれば相手が喜ぶだろうとわかってて行動している。

ただ、桐生課長は違う。
ああ、もう勝てねえや。


相談なんてなるつもりなかったのに、なぜか助けたくなったのは桐生課長の素直な人柄のせいだ。

イケメンで純粋無垢で・・・・・・、
ずるいだろ。


人工物が天然に勝てるわけねえじゃん。


はあー、やめた。やめた。
自分のことより相手のことを考えてしまうような、お人よしの二人はお似合いだ。




「……っくっそ。……今度桐生課長に、回らない寿司でも奢ってもらわないと割に合わねえな…」

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