偽る恋のはじめかた
「あの……桐生課長?…すっごく嬉しいんですけど、ここ、書類保管倉庫ですよね?立場的に大丈夫ですか?」
「……よくはないな。……ずっとこうしていたいけど」
しょんぼりとしながら、顔を首元に埋めて項垂れる彼に、愛おしさが込み上げる。
「今日さ……椎名さんの部屋に行っていい?」
「え、きょ、今日?!は、早すぎませんか?」
「話の続きをしたい」
「汚いですし、ちょっと……」
「俺が掃除してあげる」
飲み会で潰れた時に部屋まで送ってもらった時のことが脳裏に浮かんだ。桐生課長は部屋に上がり、私をベッドまで運んで、一切触れなかったのだ。
桐生課長なら、本当に掃除だけして終わりそうだな。