偽る恋のはじめかた




乱れたシーツの上に並んで寝そべる。熱と繋がりが離れた後のこの落ち着いた時間も好きだ。



「桐生課長?」


「ん?」


「あ、あの……自分でも驚いたんだけど、私、嫉妬深いみたいなんで……白井さんに優しくしないでください」


「……もう、いっそのこと、付き合ってるってみんなに言おうか、」


「そっ、それはダメです。課長の立場が……」


「さーちゃんが辛い思いするなら……みんなに言ってもいいと思ってる、辛い思いなんてさせたくないんだ」


「その言葉だけで充分です。課長の立場の方が大事だし……私のせいで負担になってほしくないんです」


「負担になんてならない。悪く言う人もいるかもしれないけど、さーちゃんに辛い思いさせることと比べたら、そんなの痛くもない」


「……桐生課長」


桐生課長の優しさに胸の奥があたたかくなる。

本当は、堂々と付き合っているとみんなに言いたい。そうすれば誰かに嫉妬することもなくなる。

だけど……彼は課長という立場だ。色恋沙汰で仕事の邪魔をしたくなかった。

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