偽る恋のはじめかた
「あー、ダメだ……」
ポツリと呟くと、慣れた手つきでネクタイを緩める。この仕草は何度見ても色気を感じて身体の奥が疼いてしまう。
「……シャワー浴びなくても……いい?」
言葉より先に指先は私のことを、優しく撫でくりまわしてくる。
「……シャワー、浴びないと、いや、」
「……」
私の言葉をかき消すように唇を塞いで、角度を変えては何度も繰り返す。
「……っん、……まっ、て」
「……どうする?シャワー浴びてきた方がいい?」
言葉を囁きながら、唇は首筋を優しくなぞる。そして、妖美な笑顔を浮かべて指先の動きを止めた。
「いやなら、やめるよ?」
「……んー、もう、」
「ん?」
「シャワー浴びなくていい……よ」
私の答えを待ち望んでいたかのよう口角を上げて微笑むと同時に、私の身体を伝う指先も動き始める。
「さーちゃん、かわいい」
彼は壊れ物を扱うかのように私の身体を優しくなぞる。肌と肌が触れ合うことでも愛と優しさを感じられる。幸せの余韻に浸るまもなく唇は塞がれる。
「……っん、……あっ、」
呼吸をする隙を忘れるくらい、いつもよりも強引なキス。彼の熱さと気持ちよさが同時に身体に流れて、身体は素直に反応してしまう。