偽る恋のはじめかた
「椎名さん、そんな飲み方したら悪酔いしますよ?ほら〜。空きっ腹にお酒飲んでないで、なにかつまんでください」
黒須君はひょいひょいと慣れた手つきで、唐揚げやサラダなどバランス良く小皿にとりわけてくれた。
「・・・・・ありがとう。なんか、慣れてらっしゃいますね」
「なんすか。その言葉遣い」
楽しそうにケタケタと笑うと、黒須君のチャームポイントのエクボが見えて可愛らしかった。
会社では私が先輩で指示する立場なので、お酒の飲み方を心配されたり、食事の取り分けをしてくれたり、世話を焼いてくれる黒須君が新鮮に感じて不思議な気持ちになった。