真夏に咲いた奇跡の恋花火
「強くてたくましくて、かっこいい性格をしています。見た目は黒髪で大人っぽいですね。清楚系美人って言葉が似合う綺麗なお顔をしています」



口を挟む余地を与えず、早口で話し始めた。

特徴1つ1つが明確で……彼女への想いが本物であると伝わってくるほどに。



「皆吉さんっ!」



立ち尽くしていると、手島くんが戻ってきた。



「遅くなってごめん! なんか水の流れが悪くてさ。格闘してた。これ書いといたほうがいいよな」

「そう、だね。ごめん。私、用事思い出したから先に帰るね」



チェックシートを彼に押しつけ、脇目も振らず昇降口へ。


端から釣り合うわけないってわかってた。

だからせめて、困った時に寄り添うことができる、頼れる良きクラスメイトになれたらって。


なのに。



『……相当惚れ込んでるんだね』

『はい。来週のお祭りで告白しようと思っているので』



胸を突き刺す光景から逃げるように、無我夢中で自転車を走らせた。
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