夕陽を映すあなたの瞳
「それで、どうする?集まったお金、何に使う?」

同窓会が終わったあと、幹事の二人にお礼がしたいと、皆がこっそり500円ずつ送金してくれたのだった。

合計金額17000円になり、このお金で二人に何かお返しをと、使い道を愛理と慎也で相談することにした。

「どこかフレンチレストランにでも招待しようかと思ってたけど…。二人がそんな関係なら、ホテル宿泊券とかでも買う?」

慎也が真剣に聞き、愛理も真顔で答える。

「でも17000円だと、そんなにいいホテルには使えないんじゃ?」
「だからさ、そこはほら、恋人達の大人のホテ…うぐっ」

慎也の口を、愛理がガバッと押さえる。

「バカ!何言ってんのよ?」

誰かに聞かれなかったか、慌てて周りをキョロキョロする。

「まったくもう…。あの二人がそんな所に行くはずないでしょ?」
「分からんぞ。だって『寝たけど、何か?』な二人だぞ?」
「そ、そうね。そう言えばそうだわ」

愛理はだんだん自信をなくす。

「私、なんだか心のこと、知らない人みたいに感じちゃう。なんでも話せる仲だと思ってたのに…。いつの間にか私の知らない、大人の心になっちゃった」
「おい、そんな大げさな…」

涙ぐむ愛理を、慎也がなぐさめる。

「心だって、別にお前のこともう友達じゃないとか、そんなふうに思ってる訳じゃないだろ?」
「それは、そうかもしれないけど…」
「よし、分かった!じゃあ、またあいつらと会おう!俺、昴にも聞いてみるからさ。な?」
「うん…」

ようやく愛理が頷き、慎也も、よしと頷いた。
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