世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
チュンチュンとベランダの方から小鳥のさえずる声がする。

(あれ?朝か?)

瞳を開けようとして、いつもはしない甘い匂いに気づいた俺は、しっかりと抱え込んだ腕の中の温もりを確かめるように長い髪に顔を埋めた。

(いい匂い……)

ゆっくりと瞳を開ければ梅子はまだ夢の中だ。

俺は梅子のはだけたままのブラウスの合わせから覗く、鎖骨の赤い噛み跡を眺めた。首元にも俺がつけた赤い跡が二つ、花が咲いたようにくっきりと残っている。

俺はその痕を順番にそっと指先で辿る。

「ん……」

梅子が僅かに唇を開いた。何度も重ねたキスのせいだろう。口紅の取れた唇を見れば昨日の夜の出来事があっという間にフラッシュバックしてくる。俺は少し梅子から体を離すと額に片手を乗せた。

(やば……身体熱くなりそ)

「……てゆうかさ、俺に襲われかけたくせに一緒に寝てんじゃねぇよ」

俺なんてベッドの下に転がしておけばいいのに、俺に添い寝するかのように梅子はこちらに身体を寄せている。

(やっちまったよな……)

昨日は朧げだが、間違いないのは俺は梅子を強引に自分のものにしようとした。自分がこんなにも幼稚で嫉妬深いことを昨日の昨日まで知らなかった。

(そういや、帰り遅かったけど、アイツになんもされてねぇよな?)

見えている範囲で梅子の素肌を確認すると、俺は片手ではだけたブラウスのボタンを閉め毛布を梅子の肩まで掛け直した。

「アイツのこと……梅子さんはどう思ってんだろ」

昨晩梅子の帰りが遅かったということは恐らく歓迎会のあと殿村と一緒に居たということだ。梅子の帰りが遅い上に何度連絡しても返事がなかったことに苛ついた俺は、生まれて初めてヤケ酒というモノをした。
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