世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
(ダメよ、梅子しっかりしなさい)

自分で自分に喝を入れるが世界と両想いになれたことにどこかで浮かれている自分がいるのが分かる。ほんといまからこんな事じゃ先が思いやれる。年下ワンコの想うツボだ。

「梅ちゃん、少し顔が赤いわよ?どうかした?」

「え?いや、なんでもないけど……」

その時テーブルのしたから世界の足が私のふくらはぎをなぞる。
私は世界をキッとにらみつけた。

(ちょっと……何すんのよっ、お母さんもいるのに!ばかなのっ)

世界は私が睨むのも気にも留めずに、にんまりすると私の足の甲につま先をのせた。そしてつま先はゆっくり甲の上だけを移動していく。

(え?ちょっと何?……あれ?文字描いてる?)

咄嗟に世界を見ればさりげなく箸を口に持っていきながら、唇に人差し指を当てた。隣の桜子は二枚目を焼き終わるとホットプレートの電源を消す。

(えっと?なに?……『あ』?)

世界は黙々と背筋を伸ばしたまま涼しい顔でお好み焼きを口に運んでいく。私はお箸をもったまま足の甲に神経を集中させる。

(『と』……『で』……)

三文字描くと世界のつま先が離れていった。途端にまた顔面が紅潮していく。

──『あとで』

その意味はすぐに分かる。

(ほんっとに、ばかワンコ)

でもさっきは未遂に終わったが、母が来なかったら私はあのまま一線を越えてもいいと思った。
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