世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「私だって人並みにイケメンは気になりますよー……彼氏と別れちゃたし」

「えぇっ、そうなの? 」

「ま、転勤で彼が遠距離になったときにヤバいかなって思ってたんですけどね……浮気です……また話きいてください。あ、見積依頼データ送信してくださいね」

明菜は、敬礼ポーズをとりながら甘い香水の匂いを漂わせながら席へと戻っていく。

(……浮気か……)

その二文字にせっかく朝掻き消した元カレのことが一瞬過ぎった。

(どうして男って浮気するのかしら……)

あんなに可愛くて魅力的な明菜の恋人でも浮気するのだ。世の中の男は皆浮気をする又は願望があるという認識だったが、あながち外れては居ないのかもしれない。

「……もう恋愛は懲り懲りだわ……」

誰かに夢中になって、二人の未来を夢見て、でも最後は他の女に取られて崖から突き落とされるなんて、本当に懲り懲りだ。尚更この年になって恋愛なんてモノをしてお涙ちょうだいの結末を迎えたら二度と立ち上がれない。若い頃のようにはもう恋なんてできない。一つ年を取るごとに恋愛がこわくなる。

「……余計なこと考えずに仕事仕事っと。仕事だけは、いつも梅子の味方なんだから!」

仕事だけはキチンと正確に、そしてたっぷりと情熱を注げば必ず応えてくれる。私はパソコンで明菜に大量の見積依頼のデータを送ると、新入社員研修で使用する資料を印刷しながら届いている管理職用の社内メールに目を通していく。

──コンコン。

ノックの音と共に直ぐに開かれた扉からは長身の男が入って来た。上品な濃いグレーのスーツにエンジ色のネクタイをぶら下げ天然物の茶髪をさらりと揺らす。

(はぁぁぁぁ、出たわね。わが社のお殿さま……)

誰が名付けたのか分からないが容姿端麗、営業成績万年トップさらには我がTONTON株式会社の花形である営業第一エリアチームの若き部長はそう呼ばれている。
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