世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「源課長に羨ましいって思われてたのは嬉しいかも。私……これからもっと人間としても大きく成長したいし、うちの会社も今より大きくするんで、TONTONが花田不動産(うち)に買収されないよう世界とせいぜい頑張ってくださいね。ってことで、はい」

心奈がオレンジ色のグロスの塗られた唇を持ち上げると私に掌を差し出した。

「心奈さん……」

「早く手だしてください。これ仲直りじゃないですから、次は負けないっていう戦線布告ですよ?」

私は綺麗にジェルネイルの施された心奈の掌に自分の掌を重ねた。

「心奈さん……元気、でね」

「はい。源課長も世界がよそ見しないよう残業もほどほどに、お肌のお手入れも少しはしておいた方がいいですよ、もう若くないんですから」

悪戯っ子のように心奈が笑う。でもその言葉に濁ったモノはなくすっと心に入って来る。

「ありがとう」

「いえ、源課長も末永くお幸せに」

そしてそっと掌を解くと心奈は足取り軽く屋上をあとにする。

私は両手を青空に突き出して大きく伸びをした。見上げた空は青く、遠くに小さく虹がかかっていた。
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