世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──空には月がまんまるに輝いていて、星が小さな光をチカチカと点滅させている。

「ね、今日何食べたい?」

世界とこうして仕事帰りに待ち合わせて、手をつないで帰る日々がまたやってくるなんて、あの雷の夜から一週間たった今でもまだ信じられない。

ただ家に帰るだけの帰り道すら、世界が隣に居るだけで幸せだと感じる私は完全に年下ワンコとの恋に溺れてしまっている。

私は繋いだ指先にきゅっと力を込めた。

「久しぶりに……世界くんのオムライスたべたい」

見上げれば世界がすぐに意地悪な顔をする。

「俺はそんな顔して俺見てくる梅子さんを食べたい」 

「もうっ……やめてよ、恥ずかしいでしょ!」

「いい加減慣れません?もうセックスだって五回しましたし、風呂だって一緒に入ったじゃん。見られて恥ずかしいとこなんてあんの?」

「……ちょっと、回数かぞえてんの?!気持ち悪いわね!」

「は?好きな女抱く回数数えて何が悪いの?前も俺言いましたけど、ささいなことでバカみたいにヤキモチやくんで!」

「え?それ、どういう意味なの?」

怪訝な顔をした私に世界が切れ長の瞳をキュッと不満げに細めてくる。

「だからー。梅子さんの歴代彼氏に抱かれた回数、どうせ今俺が一番ランキング下でしょ!?抱きまくってはやくランキング一位になって、もう俺しか抱かれたくないって言うくらい溺れさせたいんで」

「な、なんて……恐ろしい野望なの……」

「あ、面白いくらい引いてますね。全然いいすよ、どうせ今日も抱くし」

「えっ……ちょっと、だって昨日も……」

「気持ちよさそうにしてましたよね?」

「なっ……」

マンションのエントランスをくぐりながら、口ごもった私を楽しげに眺めながら世界があっという間にキスを一つおとす。

「ばかっ、誰かに見られたら……」

世界を睨み上げると同時に聞きなれた声が聞こえてくる。


「梅ちゃん、世界くんおかえりなさい」

「わっ、お母さん!」

世界が私から手を解くと直ぐに桜子にお辞儀をしながら挨拶をする。

「あ、えっと……お母さん、ご無沙汰しております」

「久しぶりね……二人ともお腹減ってるでしょ?いつもの食べましょ」

桜子が困ったように笑いながら買い物袋を持ち上げて見せた。
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