世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──パシャン
俺は目の前で小さく固まってる梅子を見ながら湯船のお湯を梅子の華奢な肩にかけてやる。梅子が恥ずかしがって今日もミルクバスでと譲らなかった為、梅子の肩から下は見えない。
「あ、りがと」
「どういたしまして」
同じ湯船に浸かりながらガチガチに固まっている梅子に目を細めつつ、俺は浴室の天井に目をやった。
セックスをしたあとの開放感と目の前に梅子がいる安心感が心地いい。少し目を瞑りかけて、あのことがよぎり、俺は小さくため息を吐き出した。この一週間、由紀恵から言われたあのイタリア渡航の件がこうやって目を瞑ろうとすればすぐに頭によぎってしまう。
(せっかく……ボスにも梅子さんのお母さんにも認めてもらったのに)
由紀恵にはとりあえず返事を濁したが、聞いた段階では梅子を置いてイタリアに行く選択肢は俺の中で全くなかった。
なかったはずなのに、資料を見れば心が揺れた。同封されていたポルトルーナの商品カタログを何回もめくっては、気になる商品に付箋をつけ、TONTONの陶器素材を使ったインテリア家具開発に向け、勝手に脳の中でデザイン画まで描いてしまうほどに時間を忘れてのめり込んでしまう。
俺はまたため息を吐きだしそうになって、慌てて口を塞いだ。
「世界くん?」
「え?どした?」
「あ……えとやけに静かだから、ちょっと気になっただけなんだけど……心配ごと?」
「あー……いや、ちょっと……数数えてた」
「え?何の?」
(何の?それ聞く?マジか……)
俺は咄嗟に梅子に不審に思われない当たり障りのない返事をする。