世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
ようやく目があった梅子の目尻には涙が浮かんでいる。そして、俺は梅子の玄関扉の前であることにすぐ気づく。

「ね、腹減りません?」

「え?なにいって……」

俺は梅子の掴んだまま、段ボールを立て掛けてある隣のドアの鍵穴に鍵を差し込んだ。

「えっ!何、ちょっと」

「まさかお隣さんだなんてね、偶然って重なりますね。俺、お隣の梅子さんに引越しのご挨拶まだだったんで、晩御飯ご馳走しますよ」

「だ、だめよ!部下である新入社員の自宅に、それも男の人の部屋に行くなんて!絶対ダメっ!」

案の定、焦る梅子を見ながら俺は口角を上げた。

(男の人ね)

「もう時間外なんで、今はお隣さんとして接して貰えますか。だから敬語もなしで。はい、さっさと入って。あそこ座って」

「めちゃくちゃなこと言わないでっ。わっ、御堂くん、ちょっと離して」

「うっさい」

「ちょっと、いま何て言ったのよ」

俺は、睨む梅子を部屋に引っ張り込むと、ソファーにジャケットを脱ぎ捨ててすぐにワイシャツの袖を捲った。

「そこのダイニングテーブルんとこ座ってて」

「え、いや、やっぱ」

梅子は俺の部屋の居心地が悪いのか、あたりを見渡してそわそわとしている。

「てゆうかさ、殿村部長からの差し入れはおいしそうに食べるくせに、お隣さんの俺の手料理は食べてくれないんだ?」

「それとこれとは……」

「話しはいっしょです」

俺はフライパンに玉ねぎと人参をみじん切りにしていれると、鶏肉と一緒に炒めていく。バターの香りが食欲をそそる。梅子に背を向けて料理を始めた俺を見ながら観念したように梅子はスプリングコートを脱いだ。
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