世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「うーん……そういや、ほうれい線って前からこんなもんだっけ? まさか白髪とかないわよね? 」

一人暮らし、独身、勿論彼氏ナシの私は自由に使えるお金だけは持っている。とりあえずネットで高級な口コミのよい化粧水と乳液を塗りたくって眠っているが、はっきり言っていって自分のメンテナンスは適当だ。

「はぁ……出会いもなく彼氏もいないのに……自分磨きなんて面倒だわ……どうせもう恋なんて降ってやきなしないんだから……ね、梅子」

私は自分自身に言い聞かせるながら、高級化粧水を頬に染み込ませるようにパンパンと掌で叩いた。そしていつものように濃くもなく薄くもない、無難なメイクを施すと黒色の長い髪の梳かしてスプリングコートを羽織った。

「お父さんいってきまーす」

玄関先の小さな写真立ての中の父に挨拶をしてから扉を大きく開け放つ。そして踵5センチの黒のパンプスを鳴らしながら、私はエレベーターへと向かっていく。

(あれ……? )

見れば私の左隣は空室だった筈だが、段ボールが束ねて玄関扉前に置いてある。

(いつ入ってきたんだろ)

私は昨日も一昨日も残業で帰ってきたのは22時過ぎていた。数日前の昼間にでも越してきて、荷解きが終わり段ボールを出したといったところだろう。

(てゆうか……可燃ゴミは出すのは明後日なんですけど。ま、どうでもいっか)

私はエレベーターに乗り込むと『閉』ボタン押した。

──ヒヒーンッ

スマホのメッセージの受信音にしている馬の鳴き声が鳴って、スプリングコートに手を突っ込めば、指先に固いものが当たってジャラッと音がした。

(あ、タクシー代の小銭入れっぱなしだわ……)

ついつい面倒くさくて、お財布に仕舞わずにいる小銭はいつのまにか数十枚に膨れ上がっている。

そしてポケットから取り出したスマホのメッセージの相手は母親からだ。私は嫌々タップして覗き込む。
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