タロくんとハナちゃん
「まぁ、そりゃそうよね。
華子は、佐藤さんの彼女だし!」

「え?////あ…は、はい////」

「でもさ!
でもこのライオン、佐藤さん達のつけてるライオンと同じに見えない?」

「そうですね。確かに……!」

「だから、ペアリングみたいで良くない?」

「……え?ま、まぁ…」
(ペアリングか……なんか、嫉妬しちゃうな……
……って、タロくんはアイドルみたいなもんなんだから!
このくらいで、嫉妬しちゃダメ!)

華子は水羅の指輪を見ながら、そんなことを考えていた。


「━━━━ハナちゃん、お帰り~!」
講義が終わり、講義室を出ると太朗と俊彦が待っていた。

「タロくん!俊彦くん!
わざわざありが━━━━━━」
「はぁ…会いたかった……」
華子を抱き締め、頭に顔を埋める。
(水羅には目もくれない)

「た、タロく…恥ずかし…い…です…/////
離して…くださ…」
「やだ、やだ!
今、補給中なの!」

(大袈裟だなぁー(笑))
と思いながらも、やっぱり嬉しい。
さっきまで、嫉妬心にまみれていたから。
華子もしがみつくように、太朗の背中に腕を回した。


「華子、じゃあね!」
「はい、また!」
手を振ってくる水羅に、華子も手を振り返す。

「ハナちゃん、行こ?早く帰ろ!」
少々強引に、華子の手を引く太朗。

今日のように離れた日は、太朗の執着はいつにも増して酷く激しくなる。

「あ、俊彦くん。また明日!」
「うん!バイバイ!」

「ハナちゃん!いいから!行くよ!」

引っ張られるように去って行った。


電車に乗り込み、椅子に並んで座る。
座っていても、太朗は華子から離れない。

「ハーナちゃん!」
「はい////」

「はぁ…可愛い~!」
「タロくんは、カッコいいです/////」
うっとりして言う太朗に、華子も恥ずかしそうに言った。

「フフ…ハナちゃんに言われると、嬉しい!」
「私も…////」
「ん?」
「私も、タロくんに可愛いって言ってもらえると嬉しいです////
頑張ろうって思えます!」

「フフ…可愛い!可愛いよ、ハナちゃん!」
「フフ…」

はにかむ華子の頭を撫でる、太朗。
そのまま手を頬に移動させ、頬に触れる。
親指で華子の口唇をなぞる。

「ハナちゃん、キス…したい……」

「へ?そ、それは/////だ、ダメです……!」

「僕もダメ……
お願い……拒まないで……」
ゆっくり、太朗の顔が近づいてくる。

(う、嘘!?ダメ!ダメ!ダメ!
ここ電車の中で、しかも人が結構いるし!)

「た、たたた、タロくん!/////」
「ん?僕の気を逸らそうとしてもダメ……」


「━━━━ゆ、指輪!!」
太朗の親指の指輪が見えて、声を張り上げた。
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