僕の欲しい君の薬指
ピクリと肩が跳ねた拍子に漏れそうになった声を慌てて自分の手で塞ぐ。
「ちゃんと現実を受け入れなくちゃ駄目だよ」
「…んっ」
「月弓ちゃんは僕に触られて快楽を覚えているんだよ」
「聞き…たくない」
「分かるでしょう?」
「聞きたくない!!!」
「いつまでそうやって足掻くつもりなのかな?まぁどれだけ月弓ちゃんが足掻いても、僕は絶対に放さないんだけどね」
彼の瞳は爛々としている。断崖絶壁で必死に耐えている私の背中をこの子は平然と押して、奈落の底へ堕とそうとする。
息を乱し顔を火照らせている私の額に貼り付いた前髪を掬い上げた彼は「可愛い」と私を見る眼を蕩けさせた。