うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 雄翔くんには色んなものを貰ってばかりだな。
 元気と安心、そして自信もくれた。
 毎朝眠れるようにお手伝いをしているけれど、全然返し足りないよ。

「……あれ? どこに行くの?」

 しばらく引かれるまま付いて行ったけれど、雄翔くんは何故か階段を上がっていく。
 東屋に行くのかと思ったんだけど……。

「ああ、ちょっと屋上に行こうかと思ってさ」
「屋上?」

 行けるの?

 雄翔くんの答えを繰り返しながら私は首を傾げた。
 大抵の学校は危ないからって屋上には行けない様になってる。
 だから当然この学園でも行けないと思っていたんだけれど……。

 ためらいもなく進む雄翔くんに付いて行ったら、屋上に出られるドアには鍵なんてかかっていなくて軽く驚いた。

「屋上、出ていいの?」

 不安でそう聞くと「大丈夫だって」と笑顔が返って来る。
 そうして開かれたドアの向こうを見て、理由をすぐに理解した。
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