うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 雄翔くんのことが好きだって、自信を持って言えるような女の子になりたい。
 そんな決意を胸いっぱいにしていたら、私のスマホがピルルルと鳴った。

 画面を見ると、ラブちゃんが電話の受話器を持って【電話だよ!】と教えてくれてる。
 その上に表示されている名前は千代ちゃんだ。

「あ、もしもし? どうしたの、千代ちゃん?」

 私は雄翔くんに断りを入れてから電話に出る。
 すると私を心配する声が次々と聞こえてきた。

『流歌⁉ あんた今どこにいるの⁉』
『プレイヤー志望の子たちから聞いたよ! 大丈夫?』
『ねえ、落ち込んでない? 泣いてない? 気晴らしに美味しいものでも食べに行こうか?』

 あっちはスピーカーにしているのか、千代ちゃんに続いて千絵ちゃん、藤子ちゃんの声が聞こえてくる。

 プレイヤー志望の子からってことは、私がみんなの前で歌えなかったことを聞いたんだろう。
 でも歌えないことを不安がるんじゃなくて、真っ先に私の心配をしてくれる三人。
 その言葉が嬉しくて涙が滲んできた。

「大丈夫だよ、ありがとう。……今雄翔くんに連れてきてもらって屋上にいるの。気持ちよくて、少しは気が晴れたから」
『屋上⁉ 行けるの⁉』

 状況を説明すると、藤子ちゃんが驚きの声を上げる。
 やっぱりそう思うよね?って見えもしないのにうなずいていたら、『今行くから!』という声が聞こえて電話が切れてしまった。
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