うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
過剰ファンサ
駆け足だった鼓動を何とか落ち着かせて講堂の方へ向かうと、座る場所が貼りだされている辺りに人垣が出来ていた。
スマホで時間を確認すると丁度八時。
もうこんな時間になってたんだ。
「お、流歌ー。こっちだこっち!」
「お兄ちゃん!」
人垣の中からお兄ちゃんが片腕を上げて私を呼んだ。
高校生の入学は少ないからか、周りにいる中学生の入学者より頭一つ分大きくて見つけやすい。
黒髪が多い中明るい茶髪なのも目立つ要因だったけど。
「もう、お兄ちゃんどこ行ってたの? あんなに早く行っても学園の中は講堂しか入れないでしょう?」
人垣をかき分けて近づいて来てくれたお兄ちゃんを叱ると、「あれ? 言ってなかったか?」と少しばつが悪そうに後髪をかいた。
「エンジニア志望の入学者は、希望があれば先にコンピュータールームとか見せてくれるって事前に連絡があったんだ」
朝早いから行かないやつも多かったけどな、って笑うお兄ちゃんに私は力が抜けていく。
「聞いてないよぉ……。もう、窓からのぞいたりしてるんじゃないかと思って裏の方に回っちゃったよ」
「おいおい、俺も高校生になったんだぞ? もうそんなことしないって」
「……そう?」
でもそれって、中学生の頃だったらやったって言ってるようなものなんだけど。
ジトーッと見つめると、疑われていると思ったのか私と同じ青い目がキョロキョロと動いた。
スマホで時間を確認すると丁度八時。
もうこんな時間になってたんだ。
「お、流歌ー。こっちだこっち!」
「お兄ちゃん!」
人垣の中からお兄ちゃんが片腕を上げて私を呼んだ。
高校生の入学は少ないからか、周りにいる中学生の入学者より頭一つ分大きくて見つけやすい。
黒髪が多い中明るい茶髪なのも目立つ要因だったけど。
「もう、お兄ちゃんどこ行ってたの? あんなに早く行っても学園の中は講堂しか入れないでしょう?」
人垣をかき分けて近づいて来てくれたお兄ちゃんを叱ると、「あれ? 言ってなかったか?」と少しばつが悪そうに後髪をかいた。
「エンジニア志望の入学者は、希望があれば先にコンピュータールームとか見せてくれるって事前に連絡があったんだ」
朝早いから行かないやつも多かったけどな、って笑うお兄ちゃんに私は力が抜けていく。
「聞いてないよぉ……。もう、窓からのぞいたりしてるんじゃないかと思って裏の方に回っちゃったよ」
「おいおい、俺も高校生になったんだぞ? もうそんなことしないって」
「……そう?」
でもそれって、中学生の頃だったらやったって言ってるようなものなんだけど。
ジトーッと見つめると、疑われていると思ったのか私と同じ青い目がキョロキョロと動いた。