うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
「あ! それよりほら、そろそろ講堂に入らないか? 学年とクラスは分かれてるみたいだけど、座る場所自体は自由みたいだから!」

 早くしないと良い場所に座れなくなるぞ! と講堂の入り口のところに向かうお兄ちゃん。
 明らかに誤魔化されたけれど、別に追及することでもないしと思って私は息を吐いてついて行った。

***

「あ、ここかな?」

 無事入学式を終えた私は、そのまま同級生の波に流されるように一年の教室に入った。

 私のクラスは一年A組。
 教室内に入って自分の名前が貼られた机を見つけて、みんなそれぞれ座っていく。

 廊下側の席に名前を見つけた私は、座って他の人の様子を見た。

 目立つ髪色を隠したいからって大きな帽子をかぶっている私。
 うさ耳までついて逆に目立つかもと思ったけれど、みんな結構自由な格好をしているなぁ。

 黒髪や茶髪がほとんどだけれど、赤メッシュを入れてる子やインナーカラーをオシャレに決めている子もいる。
 それにピアスやアクセサリーを目立つくらいつけている子もいるし、これなら私もそんなに目立たないかな?

 この帽子、うさ耳はちょっと不満だけれど深くかぶれて視線を避けれるから安心出来るんだよね。
 目立ってジロジロ見られるのが苦手だから。
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