うた×バト〜思いは歌声にのせて〜

バージョンアップ

「……うそ、でしょ？」

　私は目の前にある巨大なスクリーンに映っている映像を見て思わずつぶやく。
　ドクドクと心臓が早く動いて、呼吸が乱れる。

　スクリーンに映し出されているのは《シング・バトル》の様子。
　バトルフィールドに、二匹の“うたアニ”が戦っている様子が映し出されている。
　でも、問題はそこじゃない。

　私が動揺している理由は、同じくバトルフィールドに立つ二つの“ヒトガタ”。
　人の形をしているだけの、のぺっとした顔のものじゃない。
　その“ヒトガタ”たちは、まんま人の姿をしていたんだ。

＊＊＊

　講堂に集められた生徒たちに、まず学園長からの話があった。

　長い話を簡単に説明すると、《シング・バトル》の仕様がバージョンアップしたってことらしい。
　そして、一番の変更点は“ヒトガタ”に関することだって。

　あとは見た方が早い、ということでスクリーンに映像が映し出された。

　確かに見た方が早い。
　一目瞭然だったから。

『フィールドもより鮮明になり、動きも滑(なめ)らかになったりと細かい変更点はいくつかあるが、やはり一番変わったのは“ヒトガタ”だろう』

　マイクで拡張された学園長の声が講堂に響く。
　生徒たちは興奮が抑えられないのかザワザワと騒ぎ出した。
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