うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 ラブちゃんが上げた手を下ろすと、きらめく弓矢が指示に従い一斉に矢を射った。

『っ! きゃあぁぁぁ!』

 三足烏の防御は機能していたけれど、無数の光の矢は途切れることが無い。
 黒い鳥が弾かれた後も攻撃は続いた。
 やっと攻撃が治まると、そこには呆然とした様子の長澤さんの姿。

 視界の端にある彼女のHPゲージはどんどん下がり……14で止まった。

 14……私は16だから……え? 逆転、した?

 信じられない気持ちだったけれど、次の瞬間キョウの声が響き渡る。

『っーーー! 勝者、金井流歌ぁぁぁ!!!』

 すごいぞ! 大逆転だ! と興奮した声にドキドキしてくる。
 本当に、本当に勝ったの?
 私が、長澤さんに?

 まだちゃんとは信じられなくて、長澤さんの方を見る。
 彼女はきつく目を閉じてから、フッと力を抜いた笑みを浮かべた。

『たった二点差でも負けは負けよ。よくあの点差で逆転したわね。あなたの勝ちよ、おめでとう』

 憧れて認めて欲しいと思っていた相手からの称賛の言葉に、やっと勝てたんだと実感する。
 すがすがしさすら感じる長澤さんの声に、私は素直に言葉を返した。

「長澤さんっ……ありがとう」
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