うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
「そんな連中に群がられたら流歌困るよな? 俺はそういうものからも流歌を守りたい」
「雄翔くん」

 歩きながらでもしっかりと私の目を見て話してくれる雄翔くん。
 私がどんなに目立っても盾になって守ってくれるという言葉通り、今も頑張ってくれてるんだって必死そうな顔を見て分かった。

「とにかく、今は俺を信じて任せてくれるか?」
「うん、当たり前だよ! 雄翔くんを信じないってことの方があり得ないもん」
「流歌……サンキュ」

 泣きたくなるほど嬉しそうな笑顔を浮かべた雄翔くんについキュンとしちゃう。
 そのまま観覧席に二人で向かいながら、雄翔くんは詳しい話をしてくれた。

***

「あ、金井!」

 目立たないよう観覧席のスクリーン横の陰に向かった私と雄翔くん。
 そこで指示通り帽子と眼鏡を取っていると、横山くんと藤原先輩が現れた。

「その、今まで追っかけまわしてごめんな? 迷惑だったよな?」

 私に駆け寄って謝ってくれた横山くんに、ちょっとだけホッとする。
 ちゃんと反省してくれたなら良かった。

 でも、続いた言葉に“ん?”となる。

「でも俺が探してたのはやっぱり金井だった! これからは追いかける方じゃなくて守る側になるからさ、近くにいさせてくれよ」
「え? まあ、追いかけて来ないなら?」

 横山くんの探し人が私だったってことが想定外で、戸惑いながら返事をしてしまった。
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