うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
2.トラウマ

バトル申し込み

「おはよう雄翔くん。……大丈夫?」

 今朝もドキドキしながら雄翔くんに挨拶をした私は、同時に昨日と同じような心配の声を掛ける。
 だって、昨日と同じく雄翔くんの顔色が悪かったから。

「ああ、うん……」

 返事も昨日より元気がない。
 椅子に座った雄翔くんはそのまま力尽きるように机に突っ伏した。
 それでも顔だけは私に向けて笑顔を作る。

「大丈夫、今日も夢見が悪かっただけだから」
「今日も? 本当に大丈夫なの? 辛いなら保健室で休んでもいいと思うよ?」

 連日夢見が悪いってことはちゃんと眠れているのかも怪しい。
 そういえばはじめてあの東屋で会ったときも寝ていたんだっけ。
 本気で心配になって提案したんだけど……。

「大丈夫だって、寝なくてもこうして休んでいれば平気だし」
「……そう?」

 それでも寝た方がいいんじゃないかと思ったけれど、本人が大丈夫だって言うからそれ以上は言えなかった。

「それよりさ、昨日の夜――」
「雄翔、どうしたんだ? 具合悪いのか?」

 心配の目を向ける私に何かを言おうとしていた雄翔くん。
 でも、他のクラスメートにも声を掛けられて言葉が止まっちゃった。
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