恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに

虐待を受けて育ったのは、アベルだけではありません。
マリネも、実家の男爵家で先の妻の子どもである姉や兄からひどいいじめを受けていましたの。

歴史上薬師一族は怪しげな薬を扱う下賤な民扱いで、常に迫害にさらされてきました。
マリネの母マリーは特に有能で、ロートランド男爵家当主であったホルスの厄介な持病を時間をかけて治したことから、彼に見初められ後妻として迎えられた…と言えば美談だけど。実際は強引に妻にされたのです。薬師一族が唯一居住を許された土地を取り上げる…と脅して。

一族のため、泣く泣く妻になったマリーでしたが、使用人も義理の子どももマリーを妻や母と認めずにひどい扱いを受け、蔑まれ。厄介者扱い。

唯一の救いはマリネという娘を授かったこと。

マリーは自分の持つ知識や経験を幼いマリネにすべて伝え、子どもとして認められずとも学校にすら通えなくても生きる術をと必死に育て…マリネが10歳になる前に、病気で亡くなったのです。

そのころは浪費で家が傾きかけた男爵家は、使用人を雇うお金もなく……マリネが無給のメイドとしてこき使われた挙げ句お金がなくなると、追い出され…あちこちでメイドとして働いてそんな中で必死に勉強をし、わたくしが生まれた年にバーセンハイムの侍女登用試験に合格したのです。

男爵家令嬢なのに…誰にも頼れずたった一人で、働きながら頑張って勉強をし自分の道を切り開いたのです。
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