恋愛ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、推しカプの仲人に忙しいので、そちらはどうぞ勝手にお幸せに

「カイン様……ふたりでお話したいです」

声が震えたのは仕方ないでしょう。なにせ、興奮しすぎて鼻血が出そうだったのですから。

「なぜオレがおまえなんかと話をしなきゃならないんだ?」

カイン王太子の返答はやっぱり生意気な、生まれついての王子様らしいもの。それでもわたくしからすればかわいいものですわ。今世の6歳+前世の三十ウン年の人生の積み重ねがありますからね。

「カイン殿下」

イケボ(イケメンボイス)なアベルが咎めるような声を出すと、彼が怖いのかカイン王太子は渋々承諾をしましたわ。

「仕方ない……5分だけだぞ。オレは忙しいんだ」
「構いませんわ。ご承諾いただき、ありがとうございます」
「アベルも同席しろよ。そちらもそこの侍女を一人残せ。2人きりはまっぴらだからな」

おおお……! と思わず天を仰ぎたくなりましたわ。

(カイン王太子……あなたは神か! わたくしの第一目標カップリングを後押ししてくださるとは……!!涙がちょちょぎれますわ!!!)

カイン王太子の侍従長のアベルとわたくしの侍女のマリネ。わたくしがまず最初に仲人したい、推しカップリングなのです。
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